アテンションエコノミー:イベントの注目は人が集める
イベントには、最初の参加者が会場に入るずっと前から注目が必要です。そしてLinkedInでは、その注目が限られています。フィードの中で、みなさんのイベントは、対象層がその日に目にするほかのあらゆるものと競い合っています。ニュース、求人、旅行の写真、元同僚の昇進。アテンションエコノミーという言葉が何を指すのか、そしてOneClickBadgeがどこに手を打つのかを、このガイドで説明します。

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アテンションエコノミーとは
アテンションエコノミー(attention economy)は、日本語では「関心経済」や「注意経済」とも呼ばれ、ある単純な変化を言い表した言葉です。情報があふれるようになると、人々の注意そのものが希少な資源になります。その資源をめぐって、オンラインショップから専門カンファレンスまで、何かを伝えたいあらゆる送り手が競い合うことになります。
その核心は、のちにノーベル経済学賞を受けるハーバート・A・サイモンが、1971年に発表された論文「Designing Organizations for an Information-Rich World」で述べています。情報の豊かさは注意の貧困を生む。情報は、それを受け取る人の注意を消費するからです。この考えを1997年にインターネットに当てはめたのが、米国のマイケル・ゴールドハーバーです。ドイツ語圏では、ゲオルク・フランクが1998年の著書『Ökonomie der Aufmerksamkeit』(注意の経済)でこの考えを広めました。
みなさんのイベントは、フィード全体と競っている
主催者にとって、この理論は、対象層の典型的な一人のフィードをのぞいた途端に、とても具体的な話になります。つながりの投稿2件のあいだに広告があり、続いてソフトウェア企業のページ、求人、リーダーシップについての長文。6月のカンファレンスについてのみなさんの投稿は、この並びのどこかに現れます。誰かがあえて避けたわけでもないのに、親指はそのまま通り過ぎていきます。
LinkedInは、このフィードを一人ひとりに合わせて並べています。2020年、同社はエンジニアリングブログで、投稿がフィード上でどれだけ長く表示されているかを測っていると説明しました。数え始めるのは、投稿の少なくとも半分が画面に入った瞬間からです。LinkedInによれば、この滞在時間はフィードの並び順を改善するために使われています。このシグナルが現在どれほど重く扱われているかは、公開されていません。それでも、ほとんどの人がスクロールで通り過ぎる投稿は、フィードの下のほうへ沈みやすいと考えるのが自然です。
金魚の集中力という神話
注意について調べていると、遅かれ早かれ、人間はもう8秒しか集中できず、金魚より短い、という主張に出会います。この数字が広まったのは、2015年のマイクロソフト・カナダのレポートがきっかけでした。マイクロソフト自身が調べた数字ではありません。レポートはそれをウェブ上の統計サイトから引用していました。数字の出どころをたどった人たち、たとえば2016年のLinkedInのマーケティングブログも、その裏づけとなる研究を見つけられませんでした。
生理学者のニール・ブラッドベリは2016年に学術誌で、そもそも金魚の注意持続時間をどう測ればいいのか誰にもわからない、と補足しています。ブラッドベリによれば、8秒という数字が表しているのは、どちらかといえば、人がウェブページに平均してどれくらいとどまってから別の場所に目を移すかです。講演や長い記事にじっくり向き合う力とは、あまり関係がありません。フィードで素早く下されるのは、何に時間を割くかという判断だけです。
フィードで人が手を止めるもの
フィードが細かくどう並べられているかは、LinkedIn以外の誰も正確には知りません。それでも、いくつかのパターンには十分な根拠があり、その多くは研究に裏づけられています。そしてどれも、イベントに必要なものとよく合っています。
知っている送り手。身近な人からのおすすめは、ブランドが自分について語るどんな言葉よりも信頼されます。Nielsenが2015年に行った世界規模の調査「Global Trust in Advertising」では、83パーセントの人が、友人や家族からのおすすめを完全に、またはある程度信頼すると答えました。ブランドのウェブサイトは70パーセントでした。LinkedInのつながりが、そのまま友人というわけではありません。それでも、送り手を知っていれば、メッセージの重みが増すと考えるのが自然です。
顔。ジョージア工科大学とYahoo Labsの研究者は2014年、Instagramの写真およそ110万枚を分析しました。顔が写った写真は、いいねがつく確率が38パーセント、コメントがつく確率が32パーセント高くなっていました。写っている顔の数や、写っている人の年齢は関係ありませんでした。なぜそうなるのかは研究でも明らかにされていませんし、InstagramはLinkedInとは別のサービスです。
周りの多くの人。イベントについての投稿が1件だけなら、それは一つの知らせです。2週間のうちに、同じ図柄を3人の別々のつながりの投稿で見かけると、受ける印象が変わります。自分の周りでは、いまたくさんの人があそこへ行くらしい。心理学者のロバート・チャルディーニは、これを社会的証明と呼んでいます。自分の属する集団の多くがしていることを、人は正しいと考えやすいのです。
動き。LinkedInのヘルプによると、動画はスクロール中に自動で、音声なしで再生されることがあります。リチャード・エイブラムスとショーン・クライストが2003年に行った実験では、参加者は、探している文字が動き始めたばかりのとき、その文字をより速く識別しました。すでに動いていた文字には、この利点がありませんでした。スクロール中に再生が始まる動画は、まさにこの動き始めの瞬間をつくります。
自社チャネルに限界がある理由
自社のページは、これからも大切です。プログラムやチケットはそこに載っていて、フォローしている人はその知らせを待っています。それでも、注目をめぐる競争では二つの弱みがあります。届くのは、おもにすでにみなさんを知っている人たちです。そして、そこでの投稿はどれも、一目で自社の宣伝とわかります。広告はお金と引き換えにリーチを広げますが、有料の投稿であることは表示されたままです。
登壇者の投稿には、そのどちらの弱みもありません。投稿はその人のネットワークの中で流れ、そのネットワークはみなさんのフォロワーと一部しか重なりません。しかも、「ここで話すので、のぞきに来てください」という個人的な知らせのように響きます。こうした投稿がたくさん集まるとどれだけのリーチになるかは、ネットワーク効果の記事が、仮定を明示した一つの例で試算しています。
おもにフォロワーに届き、主催者からの知らせとして読まれます。
その人のネットワークの中で、顔と名前と本人の言葉を添えて流れます。
登壇者にも、注意の余裕はあまりない
サイモンの考えには、イベントのマーケティングで見落とされがちなもう一つの面があります。情報は受け取る側の注意を消費します。それは、みなさんからの投稿のお願いにも当てはまります。イベント前の数週間、登壇者のもとには、機材、移動、スライド、タイムテーブルについてのメールが次々と届きます。イベントについて投稿してほしいというもう1通のメールは、登壇者にとって、まずは一つの作業です。
その作業がどれだけ重くなるかを決めるのは、みなさんです。カラーコード付きのロゴ一式を渡せば、登壇者は一人ひとり自分で画像を作らなければならず、予定と予定のあいだにその時間はたいていありません。完成した図案が待つリンクなら、残るのは写真と名前だけで、数分で済みます。注意が足りない場面では、注意をいちばん使わせないお願いが、いちばん通りやすくなります。メールの文例と、送るのに合ったタイミングは、ガイド登壇者に投稿してもらうにまとめています。
下の2枚の画像は、この流れをOneClickBadgeのデモページで、スマートフォンで見たものです。参加者が目にするのと同じ画面です。


OneClickBadgeがこのパターンをどう生かすか
顔と知られた名前、そして自分のネットワークは、どの登壇者も持っています。たいてい足りないのは、数分で投稿できて、誰が投稿してもみなさんのイベントらしく見える、完成した図案です。それを用意するのがOneClickBadgeです。ロゴ、色、イベント名、日付を入れたバッジを一度デザインし、登壇者、出展者、参加者にそれぞれのリンクを送ります。リンクの先で、各自が写真と名前を加えます。参加者がアカウントを作る必要はありません。
上で挙げたパターンが製品のどこに生きているかは、下の表のとおりです。動きを加えるかどうかは自由です。エディターでチェックを一つ入れると、アニメーションバッジも選べるようになります。
| パターン | OneClickBadgeでの形 |
|---|---|
| 少ない手間 | 参加者に必要なのは写真と名前だけです。パソコンではクリック一つで完成した画像をコピーでき、スマートフォンではボタン一つで画像とテキストを共有できます。投稿文の案は主催者が用意します。 |
| 知っている送り手 | 投稿は本人の個人プロフィールから、その人のネットワークへ届きます。「プロモーション」の表示は付きません。 |
| 顔 | 本人の写真には、バッジの中に決まった場所があります。写真はブラウザーの中にとどまり、背景を除去するときも同じです。 |
| 周りの多くの人 | すべてのバッジが同じデザインから作られます。複数のつながりの投稿で見かけた人は、みなさんのイベントだと気づきます。 |
| 動き | 希望すれば、短い無音の動画も。参加者のブラウザーの中で、MP4またはWebMとして作られます。 |
イベントの前、当日、そのあとの注目
イベントは数週間にわたって、話題になるきっかけを生みます。そのどれもがフィードに現れる新しい機会で、それぞれに合う部品があります。
- 承諾のとき:登壇者には、確定の連絡と一緒にリンクを送ります。喜びが冷めないうちが狙い目です。出展者には「参加します」テンプレートが合います。
- イベントまでの数週間:プログラムが決まれば、新しいきっかけが生まれます。まだ投稿していない人への短いリマインドにも、伝えられる新しい話題ができます。イベントページの投稿のペース配分は、ガイドLinkedInでイベントを宣伝するで紹介しています。
- イベント当日:会場の参加者には、管理画面のQRカードからリンクを配ります。いま会場の席にいる人には、投稿するのにちょうどいいきっかけがあります。投稿のアイデアは、ガイドイベントからライブ投稿するにまとめています。
- イベントのあと:参加証明書は、参加者が自分のプロフィールに登録できます。そのときLinkedInは入力済みのフォームを開くので、参加者は内容を確認して保存するだけです。フィードの投稿は数日で目に触れなくなります。「資格」欄の項目は残り続け、あとでプロフィールを見た人は、そこでみなさんのイベントを目にします。
バッジにできないこと
バッジは、人がみなさんのイベントに参加することを目に見える形にし、その知らせを本人のネットワークへ運びます。プログラムに誰も興味を持たなければ、どれほど美しい図案でも、その状況はほとんど変わりません。
参加者のうち何人が投稿し、その投稿がどこまで届くかは、前もって誰にも約束できません。私たちにもできません。LinkedInは並び順の詳細を公開しておらず、ネットワークもそれぞれ違います。投稿の手間が少なく、画像が個人的に感じられるほど、投稿してくれる人は増えると私たちは考えています。
次のイベントで実践するには
- テンプレートを一つ選び、ロゴ、色、イベント名、日付を入れます。参加者が自分で入力できる項目も決めておきます。
- 投稿文の案を書き、参加者には自分の言葉に直してもらうよう勧めます。自分の言葉で書かれた投稿は、知っている人からのおすすめのように読まれます。
- 登壇者には承諾の連絡と一緒に、参加者には申し込み確認と一緒に、それぞれのリンクを送ります。
- アカウントがあれば、リンクの先のページを、独自のあいさつ文やイベントの色で整えられます。やり方はガイドイベントのカスタマイズにあります。
- 参加証明書も最初から計画に入れておきます。最後の講演が終わったあとも、イベントが話題に残るようにするためです。
関連情報
参加者に届くリンクの先は、こんなページです。自分の写真で試してみてください。何も保存されません。
よくある質問
- アテンションエコノミーは日本語で何と言いますか?
- 日本語では「関心経済」や「注意経済」と訳され、カタカナでアテンションエコノミーと書かれることもよくあります。指している内容はどれも同じです。人が受け取れる以上の情報があふれると、その人の注意が希少な資源になる、という考え方です。
- アテンションエコノミーという言葉は、誰が生んだのですか?
- 基本となる考えは、ハーバート・A・サイモンによるものです。サイモンは1971年に発表された論文で、情報はそれを受け取る人の注意を消費すると述べました。インターネットに関わる言葉としてアテンションエコノミーを広めたのは、1997年のマイケル・ゴールドハーバーです。2001年には、トーマス・ダベンポートとジョン・ベックによるビジネス書『The Attention Economy』が続きました。ドイツ語圏では、著書『Ökonomie der Aufmerksamkeit』を通じて、ゲオルク・フランクの名前がこのテーマと結びついています。
- アテンションエコノミーの例には、どんなものがありますか?
- いちばんよく知られた例は、コンテンツで利用者の注意を集め、その注意を広告主に売るプラットフォームです。ゲオルク・フランクは2017年、ドイツの雑誌「Horizont」のインタビューで、この事業モデルで「すでに不安を覚えるほどの成功」を収めている企業として、GoogleとFacebookを挙げました。日常では、並べ替えられたフィードや、スクロールすると勝手に再生が始まる動画にその姿が表れています。主催者にとっての意味はこうです。どの告知も、フィードにあるほかのすべてと同じ競争の中にあります。
- アテンションエコノミーには、どんな批判がありますか?
- ほかならぬゲオルク・フランク自身が、批判的に見ています。同じインタビューで、彼はこう語りました。「注意を一つの通貨に還元してしまうと、一種の魂の盲目が生まれる」。主催者にとって、これは役に立つ警告です。声の大きさだけを目標にしても、うまくはいきません。そのためこのガイドのパターンは、信頼と、自ら進んでみなさんのイベントについて語ってくれる人たちに重きを置いています。
- 小さなイベントでも効果はありますか?
- あります。このしくみを支えるのは人で、予算はほとんど関係ありません。数十人規模のミートアップにも登壇者や常連の参加者がいて、そのネットワークは、みなさん自身の配信リストをはるかに超えて広がっています。専門家の世界では、個人の投稿1件が、届けたい相手にちょうど届くこともよくあります。
- バッジは広告のように見えませんか?
- たいていは、イベントページの投稿ほどには見えません。投稿の向こうには、自分の写真と名前を出した一人の人がいて、投稿するかどうか、何を書くかを自分で決めているからです。その印象を保つには、文面の案を添えたうえで、言い回しは本人に任せましょう。自分のテーマについて二文ほど書き添えてもらえれば、その投稿は同僚どうしの知らせのように読まれます。
- 参加者にアカウントやアプリは必要ですか?
- いいえ。すべてブラウザーの中で完結します。参加者はリンクを開き、写真を入れ、名前を入力して、完成した画像を保存します。そのとき写真はアップロードされません。詳しくはバッジとデータの取り扱いをご覧ください。
- この記事の数字は、どこから来ていますか?
- パーセントの数値は、広告への信頼についてのNielsenの調査(2015年)と、写真に写る顔についてのジョージア工科大学の研究(2014年)によるものです。どちらもLinkedInやイベント業界から出たデータではありません。みなさんのイベントの結果を予測するものでもありません。滞在時間と自動再生についてLinkedInが述べている内容は、同社のエンジニアリングブログとヘルプに書かれています。これらの数値の出典は、このページの最後にリンクしてあります。
出典
- Michael H. Goldhaber:The attention economy and the Net. First Monday 2 (4)、1997年4月
- Georg Franck: Warum der Begründer der „Ökonomie der Aufmerksamkeit“ immer noch goldrichtig liegt(Horizont、ドイツ語のインタビュー、2017年10月)
- Nielsen:Global Trust in Advertising(2015年9月)
- Face It: Instagram Pictures With Faces are More Popular(Georgia Tech、2014年3月)
- LinkedIn Engineering:Understanding dwell time to improve LinkedIn feed ranking(2020年5月)
- LinkedIn ヘルプ:動画の自動再生設定を管理する
- Jason Miller(LinkedIn Marketing Blog):The great goldfish attention span myth(2016年11月)
- Neil A. Bradbury:Attention span during lectures: 8 seconds, 10 minutes, or more? Advances in Physiology Education 40 (4)、2016年、509から513ページ
- Richard A. Abrams, Shawn E. Christ:Motion onset captures attention. Psychological Science 14 (5)、2003年
外部プラットフォームに関する記載は2026年10月10日に最終確認しました。